備前焼は平安時代のころから現代まで釉薬をいっさい使わず、焼き締めだけで続いている世界的にも非常にめずらしいやきものです。
土と炎だけでつくる備前焼は、約1000年の伝統の中でその魅力と実用性をずっと維持してきました。
備前焼の最大の魅力は素朴な土味で、使うほとに味わい深く変化します。
また、昔から『備前の水がめ、水が腐らん』・『備前すり鉢、投げてもわれぬ』など備前焼の実用性をうたった言葉が数多く残されています。
実際に備前焼の花入れにいれた花は水が腐らず、とても長持ちいたします。
桟切(サンギリ)
作品が灰の中に埋もれ、その部分が還元焼成されると灰色に発色する。
窯の部屋の間の桟に置かれた作品に多く取れたので桟切と呼ばれています。
一般的によく見かけるのは、このタイプの備前焼です。
緋襷(ヒダスキ)
作品に稲わらを巻き大きな作品やサヤの中に入れて焼成すると、稲わらの成分と土の成分が化学変化をおこし緋色に発色します。
緋色の襷をかけたように見えるので緋襷と呼ばれています。
よい発色の緋襷は一回の窯でまったく取れないこともあり非常に高価です。
胡麻(ゴマ)
作品に降りかかった木の灰が高温により溶けて、釉薬化したものです。
胡麻を振りかけたように見えるので、胡麻と呼ばれています。
白や黄、緑などいろいろな色があります。
かせ胡麻(カセゴマ)
高温により水分がなくなった灰が付着し、溶けて荒れた肌のようにカサカサになったもので胡麻の種類のひとつです。
使っていると胡麻が剥離する場合があります。
窯変(ヨウヘン)
焚き口の近くに置かれ、薪に埋もれて焼かれた変化のある焼け上がりのものを窯変といいます。
激しい温度変化によってくっつきや破損、変形が多くなかなか取れない貴重な焼け肌です。
一回の窯で取れる量が非常に少ないため高価です。
牡丹餅(ボタモチ)
窯内部の空間を効率的に使うために作品を重ねて置いた部分が、牡丹餅を置いたように変化したものです。
皿や鉢を効率よく焼く為に多く用いられる焼け肌です。
石はぜ(イシハゼ)
乾燥・焼成時の粘土の収縮によって中の石が表面に出てきたもので、石かみとも呼ばれます。
水漏れの原因となることがよくあります。
石がはぜた感じが、良い景色としてとても珍重されています。